こんにちは。国際中医薬膳師の長岡桃白です。

最近、酒屋さんやバーで「クラフトジン」をけっこう見かけるようになりましたね。

で、ふと思ったのですが、ジンって、ハーブや果皮やスパイス(ボタニカル)を浸漬させて蒸留したお酒なので、それって要するに薬酒ってことですよね。

日本では個性あふれるつくり手による「クラフトビール」がブームですが、それと同じように、数年前からイギリスをはじめとするジン業界でも、製法や素材にこだわるつくり手が注目を集めています。

IMG_6263

先日、購入した「SACRED ORGANIC GIN」は、ノースロンドン郊外の自宅兼蒸留所で、イアン・ハート氏がていねいにつくっているジンです。
  • 12種類のオーガニック・ボタニカルを使用し
  • それぞれのボタニカルを種類別にスピリッツに浸漬させ
  • それぞれ別に蒸留
  • 最後にブレンドして完成
というこだわりようです。



Made with fresh cut organic Spanish & Italian Pink Grapefruit, Sweet Orange, Lemon & Lime, perfectly offset by Tuscan & Bulgarian Juniper, Angelica & Orris Root and rounded off by subtle Cinnamon & Frankincense (Boswellia Sacra) from the Sultan of Oman. 

 

 とあって、すべてのボタニカルを公開しているわけではないのでしょうが、効能を調べてみましたよ。生薬としても使われるものもあって、おもしろですね。
 

「ジュニパー」
juniper-669793_640
 
「セイヨウネズ」という針葉樹で、その果実は「ジュニパーベリー」と呼ばれます。
生薬では「杜松実」が近いでしょうか。利尿・発汗・むくみ解消などを促します。
ピリッとした芳香が、邪を散じる浄化力をもつと古くから考えられています。


「カルダモン」
cardamom-166832_640
 
インドカレーでおなじみのこのスパイスは、「小豆蔲(ショウズク)」という生薬ですね。
さわやかな芳香によって、胃の気をめぐらせ、消化不良や食欲不振を解消します。


「カッシア」
dried-cassia-2477482_640
 
シナモンカッシアは「肉桂」「桂皮」という生薬と近いですね。体を温め陽気を通す力があります。


「リコリス」
生薬名を「甘草」といい、ほとんどの漢方薬にブレンドされています。
消化器官をサポートし、肺を潤し、さまざまな生薬の薬性を緩和し調和させる、漢方薬にはなくてはならない生薬です。


「アンゼリカ」
昔、焼き菓子などに乗っていた緑色の茎の砂糖漬けのあれです、あれ。
「西洋当帰」といって、その芳香がホルモン分泌作用を調整し、更年期障害、PMS、冷え性などにも作用します。
「当帰」という生薬がありますが、こちらも血を補って巡りをよくする婦人科の主薬ですから、作用も似ていると思われます。


「乳香」
boswellia-sacra-1590063_640
 
乳香(フランキンセンス)は生薬としても使われています。血の巡りをよくして痛みを止めますので、生理痛や無月経にも。
お香として焚いてもよいですね。乳香の香りは心を鎮め穏やかに安定させます。


「オレンジピール」
tangerine-850432_640
 
オレンジとちょっと種類は違いますが、温州みかんの果皮を干したものは「橘皮(きっぴ)」という生薬で、胃の気をめぐらせて下へおろす動きを促します。また、湿気を乾燥させることで胃の働きを改善します。
この橘皮を密閉容器に入れて長く寝かしたものが、みなさんがよく耳にする「陳皮」ですね。


おおまかに見ると、気・血・水の巡りを促すような組成になってますね。

ジンは薬酒として修道院でつくられたのがはじまりですから不思議ではないのですが、ふつうのバーで薬酒が飲めると思うとなんかありがみがあふれます。

森を歩いているようなさわやかな香りとシャープで透明感あふれる味わいが楽しめる、とても美しいお酒です。

しかもオーガニック。

酒屋にはなかなか置いてないので、アマゾンで買うのがよろしいですよ。



Sacred Spirits